2021年9月アーカイブ

RICOH GR III の派生モデル

RICOH リコー GR IIIx が新発売 !!!

本日 2021年9月14日10:00~ご予約開始です



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歴代の RICOH GR と言えば、焦点距離は一貫して 28mm でありまして、唯一の派生モデルは RICOH GR21のみ

個人的には、将来もし派生モデルが出るなら、フィルム時代の RICOH GR21 のオマージュあるいはリスペクトとして、広角側に展開されるかも…

などと想像していましたが、大きく予想が外れ40mm !!!

なんと望遠側(28mm域がGRにとっての標準域なので)に拡張…正確には準標準域に新しい派生モデルを1台加えられることとなりました

もちろん、センサーはAPS-Cサイズなので40mmは換算表現

新たな GR LENSは 26.1mm F2.8 35mm判換算 GR LENS 40mm F2.8 となります

 

一般的にスナップ写真は手軽さが大切

誰もが簡単に被写体や背景のバランスを図れる焦点距離の王道は35mm

フィルム時代の歴代のスナップ機の焦点距離を振り返りますと

搭載されていたレンズは、誰もが使いやすい画角とレンズの開放F値(明るさ)の掛け合わせ

多くの機種で35mmから45mm域が採用され、各社が工夫を凝らした機種を販売していました

 

当時は、まだまだフィルム感度が低かった時代

そこを補うために、レンズの開放F値でハイスピードを実現したいとなれば焦点距離はやや長め

そうなるとカメラは大きく、価格も高くもなるので

大衆機では明るさは無理をせず、そのかわり使いやすいやや広角側域でレンズを設計

そんな感じではなかったかと思います

 


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そんな流れの中に登場してきたのが、フィルム時代の RICOH GR

搭載されるレンズが28mmだと聞いて、当時思ったことは「その画角を常用、それって難しすぎはしませんか」だったと記憶しています

でも、商品が発売されると
 

① 胸ポケットに入る携帯性 ⇒ いつも!どこでも!常時持ち歩き

② 28mm画角(対角約75度)の必然と偶然 ⇒ 空間を大きく切るとる醍醐味と予期せぬ偶然の映り込み

⓷ パンフォーカスが故の速写性 ⇒ 携帯性と速写性の掛け合わせ

④ 最初は難しさへの挑戦欲だったけど ⇒ それがいつしか昇華されて、肩を張らずに自然と撮ってる自分がそこにいる
 

日々使われていくうちに、機種を重ねる毎に、28mm画角でのスナップ撮影が定着していき

挑戦欲から表現欲、撮影欲へと変化、今の RICOH GR というスナップシューターの地位が築かれていったと思います

 

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ただ、そんな RICOH GR の28mmの世界観に対して

「やっぱ28mmは広すぎるよ」とか「28mmは万能じゃない」とかのご意見があったのは事実

たぶん、今回はそこがカメラ本体として21mm側に向かわなかった要因かな…

GR21が出た当時、売れたか?と聞かれれば、そりゃ台数としては厳しかったはずです

(中古カメラの世界に居るので、その世界から見ればとてもそう実感するところです)

もちろん、RICOH GR21 がGRというブランド高めた貢献は高く、よりGRが28mmに深化できた遠因だと思います

 

また、当時 RICOH GR に触発されて

  • MINOLTA TC-1 G-ROKKOR 28mm F3.5
     
  • NIKON 28Ti NIKKOR 28mm F2.8

他社からも広角機が出ましたが、単発としては特に TC-1 は大成功したかと思いますが

両機とも1台限り

またデジタル時代に再び登場することもなく

そんな歴史を振り返りますと、いかに RICOH GR というカメラのコンセプトが発売当初から強かったかとあらためて感じます

(そういう意味では、CONTAX T シリーズもたいしたものです)

 

「じゃ~!CONTAX TVSのように、ズームで準広角から標準域を実現したら?」もご意見の一つですが

そうなると一番肝心なコンセプト

「携帯性」「速写性」「高画質」この3つが成り立たない

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ここで CONTAX の話しは脱線気味ですが

CONTAX TVS の28-56mmの広角側は、メーカーさんも広角域での周辺光量不足を認めておられるところで

ズームによる画質の低下を、高級感と利便性でカバーしたと言えるのではないでしょうか

CONTAX T は高級コンパクト、RICOH GR はスナップカメラ

両機は一見同じようですが、CONTAX T系は持つことに喜びを感じるカメラ、RICOH GR は撮影することで喜びを感じるカメラ

ともによく写るカメラですが、両機は全然立ち位置が異なるカメラだと私は思っています

 

そんな RICOH GR にズームレンズを搭載することは

1996年のフィルムカメラ RICOH GR が発売されて以来、12機種で守られてきた「発売当初からのコンセプト」とは合致しない

もしするなら、それは派生モデルを超えて、親戚のような存在としてこの世に出ると想像するところです

 

そこで、今回は「28mmは広すぎるよ」のお声に対してリコーさんは、新たな単焦点GRをご提案
 

① 広角での写真撮影表現を好む方には … 従来の RICOH GR III

② 標準から準広角での写真撮影を好む方に … 今回の新製品 RICOH GR III x

⓷ カメラを使い分けることで広角から準広角そして標準での写真撮影を好む方には是非とも … 二台使い (^^);;
 

こんな新たな単焦点「28mm and 40mm」という世界観が生まれれば~

それが今回の新製品の思いなのではないかなぁ…なんて思うところです

 

 

 

 

 

そこで40mmの世界を振り返ってみる

 

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40mmという焦点距離は、使い方によては35mm的にも、あるいは50mm的にも撮影できる汎用性の高い画角です

一般的なレンズのラインナップからすると

  • 35mm
  • 50mm

と、その中間で過去を振り返ると、例えば PENTAX の MFレンズには

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があり、ごらんの通りとても薄型のレンズ

一般的にはパンケーキレンズと呼ばれてまして、小型の一眼レフカメラに装着してスナップカメラとして使われたり

あるいは、レンズ交換式距離計連動カメラでは

LEICA CL SUMMICRON-C 40mm F2(https://www.yaotomi.co.jp/products/detail/33026

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その弟分の LEITZ minolta CL M-ROKKOR 40mm F2(https://www.yaotomi.co.jp/products/detail/30593

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さらには、その進化系の MINOLTA CLE M-ROKKOR 40mm F2.8(https://www.yaotomi.co.jp/products/detail/33073

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歴代のそうそうたるスナップカメラ達を思い出します

その中でも、スナップカメラ中のスナップカメラと言えば、やはりこの Rollei 35 ではないでしょうか

https://www.yaotomi.co.jp/products/detail/37056

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このカメラの一番の特徴は目測式であること

昨今の厳しいピント精度へのこだわりとは対極にある姿で目測

「だいたい〇〇m、これぐらいかな」これでいい

それで撮影する姿に、究極のスナップ撮影を感じるところでありまして

絞りとシャッタースピードとだいたいの距離感が構成要素

沢山の素晴らしいスナップ写真を残してきた事実=歴史が「それでいい」と物語っています

 

つまり、40mmという被写界深度がそうさせているわけで、カメラと写真撮影の仕組みを知ることで

シャッターチャンス優先で写真を考えたり、あるいはシーン優先でじっくり撮影できる焦点距離であるということですね

  • 絞ればパンフォーカスで撮れる
  • 絞りを開ければ、背景をぼかすこともできる
  • 時に広角的に、時に標準レンズ的に。万能な画角を使い分け

同時に「50mmではスナップ的には長い」もこれまた真で、もうちょっと外側がほしいなぁ~が40mmの世界観

43mm程度が人間の視線や肉眼に近く

多くの人にとって扱いやすい焦点距離かと思います

28mmをそこにある空間や空気を切り取るとするなら

この40mmはそこにある「もの」や「こと」を切り取る画角ではないでしょうか

 

そこに焦点を当てた今回の製品は、なかなかもって的を射た商品でありまして

  • GR III の28mmは、カメラの機能に委ねるところは委ねる。シャッターチャンスに対してアクティブな撮影
  • GR III x の40mmは、ピントはカメラに委ねがらも、被写体との距離を意識しながら、絞りを選択していくカメラ。いわば「被写体と構図」と「被写体と思考」かな

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いずれにしても、共に挑戦的なカメラであります

  • 28mmを使いこなしてみたい という精神的な欲求
  • 28mmはボケという小技が使えない 明暗差や色彩、あるいは形状やブレで写真を見せる技量的な欲求
  • 40mmは人の目線と視野 日常から被写体を切るとるという欲求
  • 40mmはボケという大技を使える 被写界深度を併用することで絞りで奥行きで切り取る

カメラの見た目は両者同じだけど、切り取り方は全然違うカメラ

両者の併用もよし、自身の視線にあったカメラ単騎でもよし

ともにGRというコンセプトを体現するカメラですので

是非とも「挑戦」をキーワードに、横の広がりと前後の奥行きを切り取っていただきたいと思うところです

 

ではでは、次項でカメラ本体と機能を見ていきましょう

 

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