カメラの八百富|Voigtlander VITO B フォクトレンダー ビトーB が入荷しました

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㊥カメラ担当係 "S" です。本日もご覧いただきありがとうございます。

Voigtlander  VITO B  フォクトレンダー ビトーBが入荷しました。

vitoB-001.jpgフォクトレンダーが創業された年はなんと1756年。
日本は宝暦6年、桃園天皇(ももぞのてんのう)、第9代将軍「徳川家重」の時代。
海外では「モーツァルト」の生まれた年、ほんとびっくりする位の最古のカメラメーカーです。

創業時は双眼鏡や顕微鏡などの光学製品を製造していましたが、総金属製カメラで数学的計算に基づいて設計された光学レンズを搭載した総金属製カメラ「肖像写真撮影用新ダゲレオタイプ装置」を1841年に初めて作り、以降戦後に至るまでドイツの光学メーカーとして数々のカメラやレンズを生み出しました。

メーカーとしては、ZEISSに吸収合併されて消滅しましたが、ブランドとしてはZEISSに継承され、さらにその商標権はローライに譲渡移転、その後ローライが1981年倒産した際当該商標権はドイツのプルスフォトに移転、1997年にリングフォトとの共有名義となりました。そして、1999年にコシナがプルス・フォトおよびリング・フォトからフォクトレンダーの商標使用権を獲得し、「フォクトレンダー・ベッサ」シリーズや交換レンズの生産販売が始まり、現在も生産販売が継続されています。

故に、フォクトレンダーという名の付くカメラは数多くあるのですが、今日はその中の一つ「小型カメラ」の代名詞
ビトーB を取り上げたいと思います。

このカメラの特徴は、やはり「小型」ということではないでしょうか。
距離計や露出計はついていませんが、日本人好みの実にコンパクトなカメラに仕上がってします。
このビトーBシリーズには他に、露出計内蔵の「BL」や距離計内蔵の「BR」の2種類があるのですが、やはり大きなものとなり、個人的にはこの「ビトーB」がもっとも気に入ったデザインです。

ただ、今日ご紹介している「B」型は、いわゆる「小窓」の前期型で、後期になるとファインダーがブライトフレーム入りの等倍式にマイナーチェンジしています。
使い勝手からすると、明らかに後期型の大窓式のほうが見やすく優れているのですが、デザインは背が高くなり、見た目では明らかに小窓式のほうが「かっこいい」と思います。(私見ですが)

では細部の紹介に入ります。

vitoB-002.jpg私ども中古カメラ店ではお客様からカメラを買取した場合、古物営業法という法律に則り「古物台帳」という買取記録を残す事が義務付けられております。法律の趣旨は、盗品などの不正流通を未然に防止することが主眼で、「誰から何を何時買ったか」を記録しなければなりません。
「誰から」という部分は、「身分証明」で確認し、「何を」という部分は「メーカー名・商品名・製造番号」を記載します。

時々、盗品の捜査に捜査員の方が来られ、私どもが記録した「古物台帳」をくられ捜査対象の品物がないか調査されることもあります。過去に、「やったー、出たーぞー!」と大きな声で雄たけびを上げた捜査員の方もおられます。(ほんと喜んでおられました。)

というわけで、中古カメラ店「店員」はどこに「製造番号」があるのか、よく知っています。
逆説的にいうなら、「どこにあるか知らなかったら、初心者」ということで、最も経験が反映される場面でしょうか。特徴的な場所にある商品の製造番号を探していようものなら、「なにやっとんじゃ!何年いるんや!!!」と社長から怒られることに。

この、フォクトレンダー系は写真の場所にあります。割りと特殊な場所にあり、またフォクトレンダーは必ずここという感じで、これを忘れようものなら「何年おるんやー!」ものです。

で、この番号がボディー番号かレンズ番号か「どっちや?」と判断に悩むことになります。
「まあ、どっちでもええやないか」なんて言われそうですが、台帳には分けて書くようにしていますので区別する必要があります。

これが、次の話につながるのですが、我社では「ボディー番号」として扱っています。
理由は次の写真を2枚見て下さい。

まず、これがピントリングが無限遠の時の写真。

vitob-003.jpg次に、最短撮影時の写真です。両者をよく見比べて下さい。

vitoB-004.jpgそうなんです、レンズが内部で前後に動いているんです。つまり、製造番号が刻印されているのは、レンズ部品ではなく、ボディーの一部ということです。(故に、我社はボディー番号に分類しています)

このレンズ、一見すると前玉回転式に見えるのですが実は回転ヘリコイド式となっており、このままレンズユニット全体が前後します。従って、シャッターはビハインド式が採用されています。

vitoB-005.jpgビハインド式シャッターって何ということになりますが、レンズユニットに対してどこにシャッターがあるかを示しています。つまり、レンズユニットの後(フィルム側)にシャッターを配置しているということです。

通常、現在の多くのレンズシャッターカメラに採用されているのはレンズ構成の内部に位置するビトウィーンシャッターです。これは、レンズの中心にシャッターを置けばシャッターの口径が小さくてすむからで、口径が小さいということは「高速シャッター」に対応できるメリットが生まれます。

このビトーBクラスなら小型シャッターを採用し普通は高速1/500秒となるのですが、ビトーBは1/300秒となっています。理由はこの大きなビハインドシャッターに起因し、撮影目的でこのカメラをご購入される場合には、やや高速の遅さがあるという難点を認識しながらお使い下さい。

この機種のシャッターは、プロンターSVS「B.1-1/300」ですが、中にはプロントの低速1/25までという安物が搭載されたものもありますので、ご注意下さい。

※他に、外側に位置するフロントシャッターなどがあります

次に、特徴的なのがフィルムカウンター。これが凄い!文字が逆さまです。

vitoB-006.jpg理由は、カメラを手で構えた状態でそのまま覗き込んで読めるようしているためです。
おもしろい場所に、フィルムカウンターがついているのですが、これも小型化の設計思想からこうなったと推察されます。しかし、結構見やすいというか、違和感なくフィルムが確認できるところが凄いところで、結果オーライなのでしょうが「なかなか秀逸のカウンター」です。

カウンターのセットは、レンズ根元の大きなギザギザリングで合わせます。もちろん、自動復元式ではありません。

vitoB-007.jpgフィルム装填は、次のように裏ブタ開きます。パトローネ室がギリギリの大きさに作られており、そのために裏ブタ以外にボディー底板部の一部も開く設計となっています。これも、すべて小型化のための工夫です。

vitoB-008.jpgさらに、巻き戻しノブも工夫がなされています。普段は上部軍艦部に収納されていますが、ボディサイドの小さなレバー横に動かすとホップアップする構造で、上部に上がると内部でギアが噛み合うとともに、スプロケットがフリーになり巻き戻しできるようになります。(巻き戻しのボタンが省略されさらに小型化に貢献)

vitoB-009.jpgそれと、シャッターボタン周りにも工夫のあとが。
シャッターボタンの周辺部を削り込むことでボタンの高さを抑え、出っ張りを極力削減しています。
(上の方の写真もご参照:アクセサリーシューとシャッターボタンの高さが同じとなっています)

また、巻き上げをレバー方式とすることで余計な出っ張りを無くし、裏ブタと軍艦部の隙間に配置しています。

最後に、このカメラのレンズは、COLOR-SKOPAR 50mm F3.5 付きです。
中には、F2.8付きもあるようですが、F3.5が圧倒的に多いような感じです。

長々と書いてまいりましたが、まとめということで。

このカメラドイツ製なんですが、コンパクト化に向けた取組や工夫のあとは、限りなく日本くささが漂うカメラです。とは言え、ドイツはライカ、ライカといえばバルナック型。小型カメラの象徴がドイツにあるわけですから、小型化への挑戦はドイツそのものなのかもしれません。ほんと、よく検討され、小型化に取り組んだカメラだと思います。

首からぶら下げて、街中をスナップショットというのがおしゃれな感じですが、大問題が。
ストラップの取り付けが特殊なんです。でも、安心してください。代用品があります。
マミヤの645のストラップ取り付け金具が使えます。645の金具はわりと小さいですから、本体のデザインをあまり損なうことはありません。茶色のアンティークストラップとセットでお使い下さい。

展示店はディアモール店です。
お値段は、(税抜)18,500円 (税込)19,425円です。(電池別売)
お問い合わせは、電話06-6348-8945、またはメールにてお願いします。


+++中古カメラ担当係+++

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このページは、㊥カメラ 担当係が2009年11月28日 23:23に書いたブログ記事です。

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