カメラの八百富|PLAUBEL 69W proshift プラウベル 69W プロシフト

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㊥カメラ担当係 "S" です。本日もご覧いただきありがとうございます。

PLAUBEL 69W proshift プラウベル 69W プロシフト スーパーワイド が入荷しました。

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このカメラ、世界で初めてワンタッチアオリ機構を備え、手持ち撮影を可能にした6x9判ワイドカメラです。当時の定価は、388,000円。同時期販売の、マキナ67が158,000円、マキナW67が198,000円という価格でしたから、いかに高価であったかを物語っています。

機能といい、価格といい、またその用途といい、非常に特異でしたから販売台数は数少なく、中古市場ではあまり見かけない機種です。故に、●●●中古カメラ市というイベントでは「目玉品」扱いされていることが多く、そういう系の会場ではたまに見かけるカメラかと思います。


PLAUBEL 69W proshift 諸元


形式6x9cm判 スーパーワイドレンズ付ハンドカメラ
画面サイズ56X83mm
使用フィルム120ロールフィルム 8枚撮り 220ロールフィルム 16枚撮り
レンズ西ドイツシュナイダー製 SUPER ANGURON MC F5.6 47mm
4群8枚マルチコーティング
シフトアオリ横方向15°(13mm) 上方向17.5°(15mm)
撮影最短距離0.5m
フィルター径アダプターリング使用により77mm
画角93度 縦61度 横82度
シャッターコパル#0 レンズシャッター B.1-1/500秒
シンクロ接点X接点
絞りF5.6-32
ファインダー光学式ビューファインダーおよびスポーツファインダー
焦点調節機構レンズ鏡胴回転による直進ヘリコイド距離目盛合わせ式
フィルム巻上げ2回巻上げレバー式 小刻み巻上げ可能
大きさ幅 205mm 高さ 124mm 奥行 132mm
重さ1,600g

それでは次ページで詳細情報を

マミヤファンから見れば「あれ~れ???」というところでしょうか

まず、このカメラの背面写真をご覧下さい。

proshift-002.jpgどうどこから見ても、マミヤ・プレス用のロールフィルムⅢ型ですね。
ありとあらゆる所がマミヤなんですが、裏ブタの縁の光沢黒塗装と貼り革が微妙に異なります。
塗装が分厚く、かつ光沢感があり、貼り革は柔らかめ、本家マミヤよりやや高級感ありというところです。

また、本体とホルダー部は分離できない一体構造となっていますから、単純そのまま流用ではなさそうです。(分解してみないとわかりませんが...)

マミヤが作ったのか、あるいはマミヤに部品を依頼したのか、その辺りの知識は持ち合わせていませんが、上手く本体部分やグリップ部と結合されており、「フルーツポンチ機」としては違和感のないバランスのとれたデザインではないでしょうか。


ケーブルレリーズの着脱も当然マミヤ方式

印象的な「赤色」の専用ケーブルレリーズ。黒色のタイプ(たぶんマミヤと同じもの?)もあるようです

proshift-003.jpg取り付けは、まず雄ネジの付いている部分をシャッターのレリーズ口金にネジ込み、次に、一方の端部を、グリップ底部のケーブルレリーズ差し込み口に、"カチッ"とロックされるまで差し込みます。

proshift-004.jpgケーブルレリーズをカメラ本体からはずすには、グリップ底部のケーブルレリーズ差し込み口にある小さなレバーを、スライドさせながらケーブルレリーズを引き抜きます。


ピント合わせは、このブログでおなじみの「目測式」方式

ピント合わせは、このブログでおなじみの目測式(距離目盛式)です。被写体とカメラとの距離を目測あるいは実測し、その値を距離リングを回して指標に合わせて下さい。

proshift-005.jpg近距離撮影の場合は、被写界深度が浅くなりますので、スケール等で正確な距離を測って下さい。上部水準の横に「フィルム位置マーク」が設けられていますので、レンズの距離目盛はこのマークから測った被写体までの距離です。スケール等での実測の場合はこの位置マークから測って下さい。

proshift-007.jpg距離目盛は、メートル(m)は白色で、フィート(ft)は緑色で表しています。0.5mと0.6mの間にある白い点は0.55mを表します。また、1.7ftと2ftの間にある緑色の点は1.8ftと1.9ftを表します。
 ※ 2mと5mの位置にはクリックストップが設けてあります。

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被写界深度表を見ればこのカメラのコンセプト(使い方)が理解できる


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SUPER ANGURON 47mm F5.6  被写界深度表

ややこしい数字が並んでいるだけの表という感じなんですが、最もこのカメラの特長を表しています。

絞り込んだ時の深度の深さ、反対に近接側での深度の浅さ。このレンズの二面性がよく見てとれます。

縦軸がピントを置いた距離、横軸が選択する絞りの関係です。

例えば、3mにピント置いて、絞りを16まで絞れば、1.39mかjら∞まで深度内で撮れるということを表しています。

反対に、最短0.5mの時、開放5.6ならピントの大体合う範囲が5cmしかないということです。

「表では理解できんぞ」というお客様は、レンズに印刷された被写界深度スケールを参考にして見てください。。




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ファインダー視野

proshift-010.jpgファインダーをのぞくと周囲にブライトフレームが見えます。撮影視野はこのブライトフレームを基に決めることになりますが、各枠は次のようにして使用します。
proshift-008.jpg
① シフトアオリを使用しないで∞から1.2mまでの距離では、外側フレームで視野を決めます
② シフトアオリを使用しないで、1.2mから最短0.5mまでの距離では、内側フレーム
③ 上方向シフトアオリを最大(17.5°)にした場合は、上側の点線フレームを目安に
④ 横シフトアオリを最大(15°)にした場合は、左側の点線フレームを目安にして視野を決めます


パララックス補正

パララックス(parallax)とは視差のことで、このカメラのように撮影レンズと構図決めるビューファインダーが異なる場合、必ず生じる問題です。一般的な一眼レフタイプのカメラでは、撮影レンズと同じ光学系を使用しますので視差は生じません。

パララックスと表現すると難しく感じますが、簡単にその視差というものを実感できる方法があります。

まず、右目だけで何かを視野(画面)の中心において見て下さい。次に、そのまま頭を動かさず右目を閉じて左目だけで見て下さい。どうです、中心に置いたターゲットが微妙に位置がずれましたよね。これが、視差というものです。

遠方の構図では視差は小さくほとんど考慮する必要はないのですが、近接側に近づけば近づくほど大きなくなり、それを補正する装置がカメラに内蔵されているわけです。(下記写真の丸枠内)

proshift-013.jpg実際の補正の状態を下の写真でご確認下さい。
ファインダーを載せる「アクセサリーシュー」の角度が変化して、視差を補正します。

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スポーツファインダー


その昔はかなり一般的な機能だったスポーツファインダー。(二眼レフが特に)
今や「化石」状態となりましたが、もっとも簡易な構図確認装置です。

カメラ前部のスポーツファインダー枠を引き上げ、アクセサリーシュー部にある接眼部を手前に起こして使用します。接眼部の丸穴からのぞいてファインダー前枠で撮影範囲を決めて下さい。
 
 ※ スポーツファインダー枠を持ってカメラを持ち上げることは禁止字事項です。ご注意下さい。

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シャッターまわりは普通の大判レンズと全く同じ

シャッタースピードは、B.1~1/500秒まで。レンズ前面のシャッタースピードリングを回して決定して下さい。

proshift-015.jpgシャッターセットは上写真左側の銀色レバーを反時計方向に動かしてセットします。セットレバーは自動的に元の位置に戻ります。

赤い矢印のある白色レバーが絞りリング、つまみを回して希望絞り値に合わせ下さい。
クリックは付いていませんので中間点でも使用可能です。
(注意)
絞りリングは、上の写真のように開放F5.6より開く方向に動きますが、絞り値はF5.6そのままで変化しません。但し、回したからといっても機械的に問題となる話ではありませんので、ご安心下さい。


このカメラ最大のアピールポイント 「レンズシフト」 機能

最大の特徴のアオリ。レバー一つのワンタッチ「アオリ」です。
下の写真は縦方向いっぱいにアオった状態です。

proshift-017.jpgレンズをシフトするには、シフトロックレバーを反時計方向に回してゆるめ、ボディ前面のパネルを矢印方向に動かしてシフトして下さい。希望量のシフトを行ったら、シフトロックレバーを時計方向に回して、ロックして下さい。シフトはファインダーと連動しており、ファインダーで確認できます。

下の写真のシフトロックレバーの奥に縦横方向の穴が開いています。これが、シフト方向であり、量となります。故に、斜め方向には動きません。縦または横いずれか一方のシフトとなります。

proshift-016.jpgこのカメラの一番「かっこいい?」形。(個人的にええと思ってます)
縦方向のシフト状態ですが、ファインダーの向きをアオリに連動させるために、根元に「蛇腹」が使われています。基部の下側にちらりと見えています。

proshift-018.jpg各シフトの移動量は上(縦)17.5°、横15°となっており、下の写真の通り指標が設けられています。

proshift-019.jpg(ご参考) 絞り数値によってシフト可能量が変化しますので、下表を参照して下さい。

横(水平) 上(縦)
5.6 10.5° 14.0°
8 12.0° 15.5°
11 14.0° 17.5°
16 15.0° 17.5°
22 15.0° 17.5°
32 15.0° 17.5°


裏ブタの開け方・閉め方

グリップ底部にある裏ブタ開閉金具を引き下げると開けることができます。閉めるときは、裏ブタをグリップ側に強く押しながら開閉金具を押し込んで下さい。
(ご注意)
開閉金具を押し込んだ状態においても裏ブタを閉じることはできますが、正常な使用方法ではありませんので故障の原因となります。必ず、裏ブタを閉じてから開閉金具を押し込んでください。

proshift-020.jpg120・220フィルム時の圧着板切り替え方法

圧着板の外し方はやや「コツ」がいります。
「コツ」というよりは、「力」がいるというほうが適切な表現かもしれません。
圧着板の右端上下を持って左方向へ強く押しながら持ち上げて「左側の装着つめ」から外します。

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圧着板を外すと、下の写真のようにベース面に120・220の文字が4つ現れます。
圧着板に穴が開いていますので、使用するフィルムのタイプが、圧着板の窓に表示されるように取り付けて下さい。(4通り)

取り付け方は、圧着板の上下の縁を圧着板受けに合わせながら左側のばねに圧着板の溝をはめ、左方向へ強く押し込みながら右側のツメを溝にはめ込みます。

proshift-022.jpg120・220タイプのカウンターの切り替えは、ボディ上面左側のカウンター切り替えノブを、時計方向へ回すと120タイプ、反時計方向に回すと220タイプが表示されます。

(注意)
圧着板は、フィルムの平面性を保つために大切なものです。落としたり、ぶつけたりしないよう取り扱いには十分注意して下さい。

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フィルムの入れ方

裏ブタを開け、フィルム供給側(右側)のスプール交換ノブを手前に引いて、右、あるいは左に少し回してください。引いた状態で止ります。フィルムを入れ、スプール交換ノブを元の位置に戻します。リーダーペーパーを引き出し、巻き取りスプール(左側)の溝に正しく差し込んでください。

proshift-024.jpgフィルムのスタートマークと、カメラ側にスタートマーク(黄色の点)が合うように少し巻き上げて下さい。スタートマークが合ったら裏ブタを閉めて下さい。

(注意)
リーダーペーパーが巻き取りスプールに正しく巻き付けられていないと、フィルムが片寄って巻き取られる原因となります。

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フィルムの巻き上げ

フィルムを装填し、巻き上げレバーを数回巻き上げると、フィルムカウンターに①が出て止ります。巻き上げレバーは2回巻き上げ方式です。小刻み巻き上げも可能です。その場合レバーが完全に止るまで巻き上げて下さい。

proshift-026.jpg次の枚数へ巻き上げるときは、巻き止め解除レバーを矢印の方向へ動かし巻き上げて下さい。
フィルムカウンターは順算式です。S、1から1コマ巻き上げ毎に2,3と表示されます。120タイプで8枚、220タイプで16枚です。裏ブタを開くとカウンターは自動的にSに戻り、フィルムを入れないと作動しません。

(注意)
巻き上げレバーを極端に速く巻き上げると、フィルム事故の原因になりますから避けて下さい。


センターフィルターとアダプターリング

超広角レンズを使用する場合、周辺光量が減少します。このため中心に向かって濃度が濃くなっている「センターフィルター」がこの周辺光量を補正するように設計されています。このセンターフィルターを使用することにより、より完璧な画面を得ることができます。

proshift-027.jpgレンズのフィルター径は52mmになっていますが、シフトアオリ効果を最大に発揮するためには、付属のアダプターリングを使用し、77mm径のフィルターを使用して下さい。但し、2枚以上のフィルターを使用し、シフトアオリを行うと画面ケラレを生じることがありますのでご注意下さい。

付属品

proshift-028.jpg専用レンズキャップ・センターフィルター・アダプターリング・専用ソフトケース・ケーブルレリーズ・ストラップ・ファインダー・取り扱い説明書となります。

商品状態は美品。モルトは交換済。ファインダーにはやや曇りがあります。

展示店は大阪駅中央店です。
お値段は、(税抜)300,000円 (税込)315,000円です。
WEB上からでもご購入できます  リンクは → こちら

店 舗へのお問い合わせは、電話06-6341-7005 またはメールにてお願いします。

+++中古カメラ担当係+++




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このブログ記事について

このページは、㊥カメラ 担当係が2010年6月23日 05:15に書いたブログ記事です。

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