カメラの八百富|M-SYSTEM ライカからのクレームで OM-SYSTEM 結果オーライ!

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㊥カメラ担当係 "S" です。本日もご覧いただきありがとうございます。

「M-SYSTEM」  ライカからのクレームで  「OM-SYSTEM 」 でもそのほうが結果オーライだったと思いませんか!

ということで、オリンパスの一眼初期の「M-SYSTEM」銘のレンズが入荷しましたので、新旧合わせてご紹介させていただきます。

m-system-001.jpg「OM-1」がもともと「M-1」という名前だったとは有名な話で、WEB上でも色々なサイトで触れられている事かと思います。

OMシステムの設計責任者であった「米谷美久」氏があるインタビュー記事で、その成り行きを語っておられます。

【Q1】
どうして「M」なのか
【A1】
アルファベットは国によって色々な呼び方があるが、「M」という文字はドイツでもフランスでも、アメリカでも、そして日本でも発音は「エム」。だから「M」にしましょう、という感じで決まった。
(本音を言えば自分の名前のイニシャルなんですね、誰も口だして言わなかったけど...)
色々な案があったが、最終的に「M-1」で会社の決裁を受けた。(すんなりOK)

【Q2】
国内発表の2ヶ月に何が起こったのか?
【A2】
2ヵ月後の1972年9月、ドイツで開催されたフォトキナの初日に、エルンストライツ社(LEICA)の幹部がオリンパスブースに現れて、「Mは困る」との申し出を受けた。

【Q3】
どのように対応したのか
【A3】
MはライカのRF機を象徴する一文字だが、一文字のアルファベットに商標登録はない。その場で、突っぱねたとしても法律上の問題はないはずだが、オリンパスという会社は争いごとさけるのが社風。この時も、ライカ社の担当者がいる前で、すぐにMの前になにか付けましょうということになった。
その場で、色々な案が出たが、3文字以上になると登録が必要で、最後はオリンパスの「O」でも付けましょうか、ということで約1時間で「OM」に決まった。

【Q4】
しかし、完成品や仕掛品があったのではないか
【A4】
製品として完成しているものはそのまま流通させ、製品化される前のパーツなどは全て廃棄することも、その場で決めた。

という成行で、ある資料では約5000台ほどの「M-1]が市場に流通したようです。(注:後述)
当然それに付属するレンズやアクセサリーも一部が流通し、時々中古市場に姿を現します。

例えば、オートベローズやバリマグニファインダーでも「M-SYSTEM」のマークが入った物を取り扱ったこともありますし、フィルターなどでも元箱のデザインが「M-SYSTEM」となったものも見たことがあります。

また、当時の「M-SYSTEM」カタログを見てみますと、レンズに関しては以下の種類が発売される(されている)となっていました。

28mmF3.5  35mmF2  35mmF2.8  55mmF1.2  50mmF1.4  50mmF1.8  75-150mmF4.5  100mmF2.8  135mmF3.5  200mmF4  MACRO20mmF3.5 MACRO38mmF3.5 MACRO80mmF4

全部で14本が紹介されているのですが、さすがに全部を取り扱ったことはなく、ある程度入荷する商品は限定されちゃいます。やはり、よく入荷するのは標準、次に28mm、35mm。時々、200mmや55mmF1.2がチラホラ。全く見ないのが、マクロと35mmF2というところです。

そんな中、今日はたまたま望遠レンズ2種類が入荷しましたのでご紹介させて頂きたいと思います。
 ① 100mm F2.8
  ② 200mm F4

「銘板ごときに」に高い金を出して買わんぞ!
とお怒りにならずに、次ページにお付き合い下さい。



100mm F2.8 の「M-SYSTEM」と「OM-SYSTEM」比較

m-system-002.jpgまず、前玉側から。ほんと銘板違い以外、差がみあたりません。
コーティングもほぼ同じに見えます。
写真では、下側の蛍光灯の写り込みの色に差がありますが、実際にはほとんど差を感じません。

唯一、差があるのがマウント部の固定ネジ。
m-system-003.jpg初期型は「マイナス」、通常型は「プラス」です。
実は、「M-1」と「OM-1」のボディーのマウントネジも同じ仕様となっています。

あと、非常に細かい話のですが、マウント内側の黒いカバーを止めているネジは両方とも「マイナス」なんですね。大概の場合、マイナスはマイナス、プラスはプラスなんですが、どういうわけか通常型は混在仕様となっており、他の個体でもそうなっていますのでおそらく仕様のようです。

m-system-004.jpg
また、この時代のレンズの製造番号は、各レンズとも100000からスタートしているようですので、上の個体では877本目のレンズということになります。

ただどの辺りで「M」から「OM」に変わるのかということについては、やはりサンプル数が少なく、ここではなんともいえませんが、通常型の「OM」の最小番号で「1058△△」という記録がありますのでご参考まで。

反対に、「M」システムの入荷記録は、全て下3桁です。


200mm F4 の「M-SYSTEM」と「OM-SYSTEM」比較

m-system-005.jpgこれは、このように明らかにコーティングの色が異なります。
初期型が「青色」、通常型が「赤色」系となります。ただし、その差が必ず銘板と連動しているということではなく、何処かの時点で変更されたとお考え下さい。

「M-SYSTEM」は、先ほどの100mmと同じで、マイナスとマイナス仕様です。

m-system-006.jpg「OM-SYSTEM」では、先ほどと違って、プラス・プラス仕様。
普通は、こうなんですが......。
m-system-007.jpg最後に、製造番号は、「104789」。
他の初期レンズも5000以下で、通常型は7000番台からの記録がありますので、その辺りが切換り番号かと思います。m-system-008.jpgその他のレンズでは、35mmF2.8が6千番台、28mmF3.5が7千番台、50mmF1.8が25千番台、50mmF1.4が13千番台、ってな感じです。

というわけで、超アバウトな推論ですが、200mmが6000本、35mmが7000本、28mmが8000本、50mmF1.8が25000本、50mmF1.4が13000本、その他は少なくて推論できず。あくまでも製造番号からの推測です。

また、本体のほうの番号も調べてみますと、これまた結構な台数がありまして、「102△△△」から「152△△△」まで確認しておりますので、約5万台程度。
標準レンズが、計38000本、50mmF1.2が約1000本として約4万本。
やや5万台は多いかなと思いますので、約4万台というところではないでしょうか。

最初に5千台とは書きましたが、それよりかなり多くのカメラが市場に流通したような雰囲気です。
(但し、底板が簡単に交換できますので正確な計算とは限りません)


たった、一文字違い。
でも、ネーミングとしては結果的に「OM」のほうがよかった!と思う私です。

「M-SYSTEM」  と 「OM-SYSTEM 」

その生い立ちに、ライカが関わっているとなると、なんとなく意義深いと言いますか、
あ~あ、これもLEICAウイルスの一種ですかね。チャン!チャン!

店舗へのお問い合わせは、電話06-6341-7005 またはメールにてお願いします。

+++中古カメラ担当係+++ 




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このページは、㊥カメラ 担当係が2011年5月12日 23:40に書いたブログ記事です。

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