カメラの八百富|PENTAX ペンタックス ステレオアダプター・52mmとビュワーⅡセット

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㊥カメラ 担当係 "S" です。本日もご覧いただきありがとうございます。

PENTAX STEREO ADAPTER 52mm(ペンタックス ステレオアダプター  52mm) と STEREO VIEWERⅡ(ステレオビュワーⅡ) のセット が入荷しました。

stereo-001.jpgいかにもペンタックスのアクセサリーらしいと言いましょうか、ほんと長い間生産し続けている「ステレオ写真撮影装置」のⅡ型をご紹介します。一応、Ⅱ型と呼んでいますがビュワーがⅡ型ということでお願いします。

Ⅱ型という限りはⅠ型があったわけで、そして現在は「D」型として現存しています。
普通ⅠとくればⅡ、そしてⅢが順序ってなもんですが、さすがデジタル時代、現在は「ステレオアダプターDセット (3Dイメージビュワー付属)」という商品名で販売が継続されています。
「D」はデジタルの略なのでしょうか、それとも「dimension」も掛け合わせての「D」でしょうか、ただ本体部分はいまだに何もロゴ以外変わっておらず、ステレオ写真を撮る原理は今も昔も全く同じです。

その中で、唯一大きく変わったのが、ステレオ写真の鑑賞方法。
今はプリントされた紙を、3Dイメージビュワー(学研の付録みたいなビュワーなんですが)で見ますが、その昔は「カラースライドフィルムをマウント仕上げしたもの」を下の専用ビュワーで明かりにかざして立体写真を楽しむ方式でした。

■ ビュワーⅡの写真


stereo-002.jpg一般の方すれば「ステレオ写真」というものは非常に特殊な世界との印象が強い分野なのかもしれません。が、最近は3Dテレビという形ではありますが少しづつ耳にする言葉となってまいりました。

しかし、その昔結構この「3D」写真が流行った時代があったのです。
実は19世紀中ごろから20世紀に大流行したことがあり、専用カメラなるものが沢山作られた時がありました。そして、このステレオ写真が現在の写真業界の源流ともいえる写真技法であったということはあまり知られていない話です。

その面影、時々中古カメラ店のウインドウの片隅で見かけます。
2個のレンズが横に並んだ古めかしいカメラ、見かけたことはありませんか?
縦にレンズが並んだカメラは二眼レフ、横に二つレンズが並んでいる横長の金属製のカメラがステレオ用です。新しいところでは「STEREO Realist」や「Kodak STEREO」、国産では「ROKUWA Stereo Rocca」というカメラがありました。

皆さんご存知のROLLEIFLEXも、実はステレオカメラからの発展系なのです。
フランケ&ハイデッケ(Franke & Heidecke GmbH )が最初に作ったカメラは、「ハイドスコープ」というステレオカメラ(1921年)で、このカメラを改造して世に出したのが「ローライフレックスオリジナル」(1929年)、二眼レフはステレオカメラの子供だったのです。

まあ、この辺は私の専門外。いろんな本や情報が出ていますから、興味ある方はお調べになって下さい。写真の歴史のいい勉強になるものと思います。

では、本題のPENTAXのアダプターのご紹介を次ページで。

では、まずステレオ写真の原理から。(学校風)

通常、立体写真(ステレオ写真)を撮影する場合は、2台のカメラ(2本のレンズと2本のフィルム)を横に並べて写すというのが極一般的な姿なのですが、このペンタックスのステレオアダプターは1台のカメラで「手軽にいつでも好きな時に」写そうというコンセプトで作られたアクセサリーです。

ペンタックスのステレオアダプターの原理

 1本のレンズで左右の視点に異なる像を作り、1枚のフィルムの左右に分割して2つの像を作る
stereo-003.jpgビュワーの仕組み

上のアダプターを使用してできたフィルム(ポジに限る)をステレオビュワーⅡに入れると、下の図の仕掛けで立体写真をみることができる

stereo-004.jpg
カメラの取り付け

下の写真の通り、横向け、カメラと水平の関係になるように取り付けて下さい。
基本のフィルター径は、52mmですが、付属の49mm-52mmアダプターを使用すると49mmフィルター径のレンズにも使用できます。
※ もちろん、ペンタックス以外の他社カメラでもフィルター径さえ合えば取り付け可能です。
※ 他サイズへの変換はケンコー製のステップアップリングをご使用下さい。

stereo-001.jpg注意事項としては、このアダプターは露出した4枚の表面鏡を使用していますので(前側に保護カバーが付いていない)、前後のキャップを取り外すとその鏡がむき出しとなります。そのため、ホコリなどにはご注意下さい。また、表面鏡は非常にキズが入りやすい部品のため、清掃時には細心の注意を払って下さい。

使い方

カメラの向き
 ● 立体写真は左右の立体角によって、立体視を行うので、カメラは必ず横位置で。
ピント合わせ
 ● ファインダー映像は左右に二つに分かれ、開放では中央はだぶって見えるが、ピント合わせは
      被写体の主体でピント合わせを行って下さい。
 (ファインダー中央のマイクロプリズムやスプリットイメージではピントを合わせられません)

stereo-005.jpg⇐ ファインダー内の映像の見え方
  (SMC PENTAX 50mm F1.4 使用絞りF5.6)








撮影の仕方

●絞りはF5.6かF8にします。
(中央分のダブりは開放ほど重なり、絞れば徐々に無くなる、だんだん黒い帯が広くなる)
●ビュワーとの関係で、F5.6もしくはF8で撮影したスライドが最も見やすいように設計されています
●露出計はそのまま開放測光で使用可能
●撮影アドバイス
 主要被写体を2~3Mに配し、その邪魔にならないように前景とバックをいれると距離感がでます
 近すぎると左右の像が接近しすぎて、ビュワーで見るときに一体に見えなくなります
 (無難な距離は1.5mまでというところ。それより近接側は無理)
 また、遠景は左右の像がほぼ写真となり、立体感がでないので面白くないです

ビュワーⅡの使い方


ビュワーに出来上がったスライド(マウント仕上げで現像)を入れて、鑑賞して下さい。
一般的に、ビュワーがあれば簡単に立体視が可能です。
よく、2枚の写真や絵を裸眼で立体視する方法が書かれていますのが、私全くできません。
が、この私でもこのビュワーを使えば、なんら問題なく立体写真を楽しめます。
ビュワーの接眼部は左右に±3mm調整が可能です。(視度-2ディオプトリー)

以上が使い方の説明となります。
付属品一式は下の写真をご覧下さい。

stereo-006.jpg本体・ビュワー・純正ステップアップリング・取扱説明書、そして下の元箱です。

stereo-007.jpgあと、本体の写真を数枚。

stereo-008.jpg取り付け面側から。

stereo-009.jpgということで、おもしろアクセサリーのご紹介でした。

実は、PENTAXという会社、本格(業務用)ステレオ写真撮影機の専門メーカーなんです。
皆さんも良くご存知といいますか、あんまりかかわりたくない分野と言いましょうか、絶対にそんなことに関係しないに越したことはない分野、でも結構見たことのある、身近な分野でその機器が活躍しております。

交通事故処理用地上写真測量機材、警察の事故処理の時にやって来るワンボックスパトの中にある事故現場を撮影する機材がそうです。なにやら特殊な分野で、数社以外に参入もなく非常にシェアの高い事業のようです。

また、警察の備品としてのカメラでも非常にシェアが高く、ちょっとデジタルになって他社にそこそこ荒らされたらしいですが、また最近復活してきたそうです。よく事件現場の鑑識さんたちの使っているカメラがテレビに映りますが、よく見てください。結構「PENTAX」を見ます。LXからMZ系、ISTなどのフィルム系カメラを見かけます。最近は、K20Dがちらほら。

改ざん防止機能付きメディアを使用したデジカメ一眼が警察に大量導入されたというニュースが昨年流れていましたが、どうも、それがK20Dのようです。

そんな中聞いた話しなんですが、なんで昔からペンタックスにステレオ写真撮影装置が昔からあるのか?ほんとかウソかしりませんが、警察がらみだという説があります。

その方いわく、地面についた2枚の一定の関係の写真があれば、足跡の長さと足跡の深さから「犯人の身長」が導きだされる。そのために現場で簡単にステレオ写真が撮れる道具が必要だったから昔から今まで生産しているんだよ。

......らしいです。ことの真偽はしりませんが、説得力のある仮説ですね。

以上、またまたペンタがらみで失礼しました。

では、販売店と価格のご紹介です。
当時の定価は8,000円と比較的割安。
(ペンタックス特有の価格戦略で、最後の最後の定価は25,000円位まで値上がりしたはずです)
まあ...めずらしいポジを見るためのビュワー付きということで下のお値段お許し下さい。
商品状態は、元箱付きのほとんど未使用状態の良品です。

展示店は大阪駅中央店店です。
お値段は (税抜)16,000円 (税込)16,800円 となります。
WEB上からでもご購入できます リンクは → こちら

店舗へのお問い合わせは、電話06-6341-7005またはメールに てお願いします。

+++中古カメラ担当係+++

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このページは、㊥カメラ 担当係が2010年3月25日 23:58に書いたブログ記事です。

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